前にインスタでシュトレンのことを書いたら、無性にシュトレンが食べたくなって、僕が7年ほど前にバイトをしていたカフェでネット注文しました!
僕がバイトをしていたのは、鎌倉・極楽寺にあるカフェ「ちえのケーキ」さん。
極楽寺駅は江ノ電の駅で、鎌倉駅から4駅目。ちえのケーキは、極楽寺駅から歩いて10分ほどの閑静な場所にあります。
お店には室内席のほか、季節の花が美しく咲くガーデンにも席があるので、寒い時期じゃなければ外でもカフェタイムを楽しめます!
花好きな人には素晴らしい環境なんだー!
そして先日、オーダーしていたシュトレンが届きました。
箱にはオーナーのちえこさんからの手紙が同封されていて、嬉しかったな…。
バイトをやめて何年も経つのに、僕のことを覚えていてくれるなんて。
昨日、シュトレンをいただいた後、僕はずっとちえのケーキのことを思い出していました。
きっかけは箱から漂う「におい」でした。
人にも場所にも「独特のにおい」ってあるよね?
友だちの家に遊びに行ったとき、その家ならではの「におい」を感じた経験はあると思うんだ。
え、あるよね?
僕だけじゃないって信じたい。
綺麗にラッピングされた箱を開けたとき、かすかではあるけど、ちえのケーキのにおいを僕は確実に感じたんだ。
バイトをしていたのは何年も前のことで、それから転職、結婚、子育てなど僕の人生は変化の連続だった。
そんな中でちえのケーキで過ごした時間が遠い昔のことのように思えていたのだけどね、箱から漂うにおいを嗅いで当時の記憶が一気によみがえってきたんだ。
ちえのケーキとの出会いをふりかえってみるね!
僕がちえのケーキに初めて行ったのは、2012年6月10日のこと。
当時僕は28歳。もう8年も経っているなんて、時が経つのは本当にはやい!
この日は日曜日で特に予定もなかったので、朝から鎌倉へ行き、紫陽花を鑑賞していました。
僕は小さいころから花を見るのが好きなのだけど、中でも紫陽花が大好きでした。
保育園に行く道の途中に紫陽花が綺麗なエリアがあって、そこを通るのが楽しみだったんだ。
鎌倉には紫陽花の名所がたくさんあって、毎年梅雨の時期には朝からカメラをさげた人がたくさんやってくるんですよ。
数ある紫陽花の名所の中でも北鎌倉の「明月院」(めいげついん)は「あじさい寺」の異名を持っていて、敷地内には紫陽花が美しく咲き誇っています。
明月院で紫陽花をたくさん見て満足した後、「まだ時間があるしもっと回ってみよう」と思い立った僕は、ネットで鎌倉の紫陽花の名所を検索しました。
成就院なんて名前からして縁起がいい!「願いが叶いそうだし、よし、行ってみよう」と思い、北鎌倉駅から電車を乗り換えて、極楽寺駅に向かいました。
成就院は極楽寺駅から歩いて5分かからないくらいの場所にある寺で、小高い丘の上にあります。
境内に行くために急な階段を上るのがちょっと難点なんだけどね、丘に着いた僕の目の前に広がったのは…。
海!!
海岸線が一望できる素晴らしいスポットです。
この写真を見てよ!
横には紫陽花が咲いていて、目の前には海が広がっている。素晴らしいと思わない?
たくさんの人が来ていたし、みんな傘を差していたから撮影場所を確保するのが大変だったよ…。
「ちょっとすみません」と言って空いているスペースをに体を入れて、当時使っていたコンパクトデジカメでパシャリ!
そうそう、成就院の境内には「縁結び不動明王像」があってね、「ステキな女性と知り合えますように」と願掛けしたんだ!
このときの僕には浮いた話なんて全くなくてね、デートに行く時間もお金もあったのに相手がいない悲しい状態だったんだ。まあ、あれですね、ストレートに言うと、モテなかった!!
この願掛けのおかげか、初めて成就院に行った数年後に妻と近所の喫茶店で出会い、いまではふたりの子どもと楽しく暮らせています。
そうそう、成就院の縁日は「28日」なのだけどね、28日は妻の誕生日なんです。1月28日が妻のバースデー!
なんとなく、縁を感じる…。さすが、縁結び不動明王。
不動明王ってね、顔は怖いけど心は優しいんだよ。知ってた?
1987年放送の大河ドラマ「独眼竜政宗」で、まだ子どもで「梵天丸」と名乗っていた伊達政宗がね、不動明王像の前で「梵天丸もかくありたい」と言ってたシーンを思い出したよ。
いっけない、また話がそれた!
成就院で紫陽花を堪能して「そろそろ帰るかな」と思い駅に向かっていたら、電柱に「ちえのケーキ」と書かれた広告を見つけました。
店名も気になったけど、それ以上に「ちえのけーき」のフォントが気になってしまい、広告の案内にしたがってお店に向かってみたんだ。
歩くこと5分ほどで、「ちえのケーキ」と書かれた看板を発見!
ただ外観は普通の家で、カフェの感じはしません。
「ここがカフェなの?」
重さのある門をおそるおそる開けて敷地内に入り、お店のドアノブを手前に引き、店内へ!
「ケーキのショーウィンドウがあるし、棚には焼き菓子が並んでる。カフェに違いない」
すると、品の良い女性が笑顔で出迎えてくれました。
その女性がオーナーのちえこさんだったのだけど、そのときのやりとりはいまでも覚えています。
ちえこさん「あら、はやいのね?」
僕「???」
「いらっしゃいませ」じゃないし、「はやい」とは?
後にバイトをするようになってわかったのだけど、開店直後から来るお客さんはかなり稀だった。
だからちえこさんは僕の来店時間がはやくて、驚いたみたい。
雨が降っていたのでちえこさんから室内席に通され、僕はイチゴのロールケーキと紅茶をオーダーしました。
ちえのケーキで初めて食べたときの一枚!
なんだろうなぁ、こうして日常を写真に収めているとふとしたときに過去を振り返れていいよね!
日々の写真を撮影することで感じたいいことについてnoteで書いているよ!
このとき店内にいるお客さんは僕だけ。
雨が庭にある草にしとしとと当たる音を聞きながら、お茶とケーキをじっくりと味わいました。
ケーキが乗っているお皿はたしかフランスの焼き物で、触感はいいし、色味も僕の好みで美味しいケーキの味をさらに良くしているように感じました!
僕はお茶を習っていて、お皿やカップといった食器が大好きでした。
茶道には「拝見」というプロセスがあって、亭主(ホスト)がお客(ゲスト)にお茶会で使った道具を実際に触ってもらう時間があります。
お皿をじっくりと見るのは習慣でもあり、もてなしてくれた人への礼儀だと思ってた。
ケーキの味が素晴らしいだけじゃなくて、ちえこさんの人柄やカフェの雰囲気も僕の好みでした。
僕がひとりでのんびりとしていると、ちえこさんが「いかがですか?」と話しかけにきてくれてね。
僕は人との雑談が好きなので、ちえこさんとの会話も楽しかったなぁ。何を話したかは忘れましたけどね!会話が弾んだことだけは覚えています。
たしかお土産に「鎌倉マドレーヌ」をふたつ買って、家に帰りました。
お店をあまりにも気に入った僕は、それから何度もお店に行きました。そのうち「ここで働きたいなぁ」なんて思うようになった。
そんなとき、たまたまお店のホームページを見たら、「スタッフ募集」の投稿があって、僕は反射的に応募をしていました。
頭で考えるより先に行動していることって、ありません?スタッフへの応募が、まさにそれでした!
当時僕は会社員をしていたけど、週末ならお手伝いできる!と思ったんだ。
その後ちえこさんから「ぜひ!」とお返事をもらって、毎週土日のどちらかにちえのケーキのスタッフをスタートしましだ!
お店では接客するだけじゃなくて、ちえこさんといろんなことをしました。
たとえば、お菓子の試作をしたり、ケーキやお店、庭の写真を撮ったり。
僕はちえのケーキで過ごす時間が大好きだった。
シュークリームのイベントのためにカスタードをつくったこともあったなぁ。
水っぽかったカスタードがある瞬間を境にかたまっていく様子を見たときには感動したよ!
大雪が降ったときには庭に相当に積もってね…。
お客さんは来ないので、スタッフで雪の中外でランチもしたっけ!
料理があっという間に冷めて、みんなで冷や飯を食べたのは良き思い出!
夏には鎌倉の花火大会も見たなぁ。
何よりも楽しかったのが、カフェでたくさんの人と話したこと。
性別はもちろん、年齢も仕事も地位も違う人たちと話をして、その時間がとっても豊かで、心が満たされたんだ。
お客さんもお話好きな方が多くて、接客のたびにたくさん話しました。とにかく、喋った!
ちえこさんもお話好きだから、話に花が咲いてしまって、気がついたら1時間経っていたこともざらよ!
いまはあるのかな?ちょっとわからないけど、僕がスタッフをしていたとき、庭にはミモザの木があって、春に黄色くてかわいい花を咲かせるんだよ!
これがちえのケーキの有名な「ミモザケーキ」のモデルなんだー!
仕事が忙しくなって一年ほどでやめたけど、どれもいい記憶として僕の中に残ってる!
週末カフェスタッフとして働かせてくれたちえこさんには感謝しかありません。
そして話してくれたお客さんにも、「ありがとう」の気持ちでいっぱいだよ。
お客さんの中にはなんと会社が近い人がいて、仕事あがりに飲みに行ったこともありました。
その方は僕の父親と同じくらいの年齢の人でね、人生相談にも乗ってもらったんだ。
バイトをやめてから数年。
シュトレンの箱を開けた後、僕はちえのケーキでのひとつひとつの体験を思い出していました。
ちえこさん、本当にありがとう!
コロナが落ち着いたら、子どもたちを連れて遊びに行くね!